SaaSユーザー会の成功事例では、単発の交流会ではなく、ユーザー同士が学び合い、運営会社にも改善につながる情報が集まる仕組みを作っています。代表例として参考になるのが、Salesforceの「Trailblazer Community」とAtlassianの「Atlassian Community」です。
成功につながった取り組みを自社で活用するには、参加人数だけでなく、継続参加率、ユーザー同士の交流、活用度の変化、集まった意見が改善に生かされたかを確認することが重要です。
SaaSユーザー会の成功事例で共通する取り組み
成功しているユーザー会には、主に「参加目的が明確」「ユーザーが発表者になれる」「継続的に交流できる」という共通点があります。
| 取り組み | 参加者にとっての価値 | 運営会社にとっての価値 |
|---|---|---|
| ユーザー事例の共有 | 自社での使い方を具体的に想像できる | 活用方法や成果が伝わり、利用拡大につながる |
| ユーザー同士の交流 | 同じ課題を持つ担当者に相談できる | 利用現場の課題を把握できる |
| テーマ別・地域別の分科会 | 関心の近い人と深く話せる | 対象者ごとのニーズを把握しやすい |
| オンラインと対面の併用 | 場所や時間に応じて参加方法を選べる | 参加機会を広げられる |
| 参加者の表彰や認定 | 貢献が認められ、活動を続ける動機になる | コミュニティを支える人材を育てられる |
成功事例1:Salesforce「Trailblazer Community」
SalesforceのTrailblazer Communityは、製品の使い方を学ぶだけでなく、ユーザー同士が質問、交流、イベント参加を行えるコミュニティです。地域や関心分野ごとのグループを設け、ユーザーが学び手であると同時に、知識を共有する側にもなれる点が特徴です。
公式コミュニティでは、ユーザーグループやイベント、学習に関する活動が案内されています。単に運営会社が説明する場にせず、参加者同士の学習と交流を組み合わせている点が、ユーザー会を継続させる参考になります。
Salesforce Trailblazer Community
参考にできる成功要因
- 製品の操作方法だけでなく、業務での活用方法を共有している
- 地域やテーマごとに、参加者が自分に合うグループを選べる
- ユーザーが質問するだけでなく、発表や情報共有にも参加できる
- オンライン上の交流とイベントを組み合わせている
自社で取り入れる場合は、最初から大規模なイベントを目指すよりも、「営業部門での活用」「導入初期の設定」「管理者向けの運用」など、参加者が具体的に話せるテーマを設定すると運営しやすくなります。
成功事例2:Atlassian Community
Atlassian Communityは、Atlassian製品のユーザーが質問や情報交換を行うオンラインコミュニティです。製品別の相談だけでなく、ユーザーグループやイベントを通じて、利用者同士が知識を共有できる場が用意されています。
公式コミュニティでは、質問への回答やディスカッション、イベントなどの活動が案内されています。運営会社から一方的に情報を配信するのではなく、ユーザーが回答者やコミュニティの担い手になれる設計が参考になります。
参考にできる成功要因
- 質問を起点に、ユーザー同士が解決方法を共有できる
- 製品単位の情報と、ユーザーグループ・イベントを組み合わせている
- 運営会社だけでなく、経験のあるユーザーが回答に参加できる
- オンラインで解決しやすい疑問と、イベントで話し合うテーマを分けられる
この方法を自社のユーザー会に取り入れるなら、イベント後に出た質問をナレッジとして整理し、次回のテーマやFAQに反映する流れを作ると、活動が蓄積されます。
成功するSaaSユーザー会の運営方法
ユーザー会を立ち上げるときは、対象者、目的、参加後の行動を先に決めます。交流そのものを目的にすると内容が曖昧になりやすいため、「導入後の定着を支援する」「活用事例を共有する」など、参加者が得られる成果を明確にします。
- 対象者を絞る
管理者、現場担当者、導入責任者など、最初の参加者を具体化します。 - 解決するテーマを一つ決める
「利用率を上げる方法」「権限設定の考え方」など、参加後に役立つテーマを設定します。 - ユーザー発表を組み込む
運営会社の説明だけで終わらせず、実際の運用方法や失敗例をユーザーに共有してもらいます。 - 交流の時間を確保する
質疑応答や少人数の意見交換を設け、参加者同士が話せる時間を作ります。 - 意見を記録して改善につなげる
質問や要望を分類し、製品改善、マニュアル、次回テーマに反映します。 - 次回参加の理由を作る
次回のテーマを予告し、発表者の募集や継続的なオンライン交流につなげます。
ユーザー会の成功を測る指標
参加人数だけでは、ユーザー会が成功したか判断できません。参加者が実際に役立ったと感じたか、継続して参加したか、利用行動が変わったかを複数の指標で確認します。
- 申込者数に対する参加者数
- 初参加者とリピーターの割合
- 参加後アンケートの満足度
- ユーザー同士で発生した質問・回答の件数
- 事例発表者やコミュニティ運営協力者の人数
- イベント後の機能利用や活用範囲の変化
- ユーザーから集まった要望が改善に反映された件数
例えば参加人数が少なくても、参加者の多くが継続し、具体的な相談や事例共有が増えているなら、対象者を絞ったユーザー会として機能している可能性があります。反対に、人数が多くても一方的な製品説明に終わっている場合は、参加者同士の交流を増やす必要があります。
失敗しやすいユーザー会との違い
ユーザー会が続かない原因は、運営会社からの告知や製品説明だけになり、参加者が話す理由を持てないことです。また、毎回同じ参加者だけに発表を任せると、負担が集中して新しい協力者も増えにくくなります。
- 製品の宣伝が中心で、参加者の課題を扱っていない
- 対象者が広すぎて、テーマが抽象的になっている
- 発表や交流の時間が短く、参加者が話せない
- イベントで出た意見を次回に生かしていない
- 参加者への依頼内容や発表条件が明確でない
改善するには、開催前に参加者の課題を集め、当日のテーマに反映します。開催後は質問、要望、次回に聞きたい内容を記録し、次の企画に反映したことを参加者へ伝えることが大切です。
SaaSユーザー会を成功させるポイント
SaaSユーザー会の成功事例から学べるのは、規模の大きさよりも、ユーザーが継続して参加できる仕組みです。ユーザー事例の共有、参加者同士の交流、テーマ別の場、運営会社による改善への反映を組み合わせると、単発イベントとの差が生まれます。
まずは対象者を絞り、参加後に得られる成果が明確なテーマで小さく開催しましょう。そのうえで、参加率だけでなく継続参加、交流、活用度、製品改善への反映を確認すると、自社にとっての成功基準を判断しやすくなります。







