SaaSの顧客満足度を調査する方法とは?

SaaSの顧客満足度を調査する方法とは?

SaaSの顧客満足度を調査するには、利用後の顧客にアンケートを行い、CSATやNPSなどの指標と自由回答、利用状況を組み合わせて分析します。1回だけ全体の満足度を聞くのではなく、導入直後・機能利用後・更新前などのタイミングごとに調べることが重要です。

SaaSの顧客満足度を調査する代表的な方法

調査方法は、アンケートによる定量調査と、インタビューなどによる定性調査を組み合わせると、満足度の数値とその理由を把握しやすくなります。

方法 分かること 向いている場面
CSAT 特定の利用体験への満足度 問い合わせ対応、機能利用、オンボーディング後の評価
NPS 他者にすすめたいかという推奨意向 サービス全体の評価や顧客ロイヤルティの把握
CES 目的を達成するまでの使いやすさや負担 操作性、導入、問い合わせ解決のしやすさの確認
自由回答 満足・不満の具体的な理由 改善点や顧客が重視する価値の把握
顧客インタビュー 利用背景や導入効果、解約理由 数値だけでは分からない原因の深掘り

CSATで利用体験への満足度を測る

CSAT(Customer Satisfaction Score)は、顧客に「今回の利用体験にどの程度満足しましたか」と尋ねる方法です。問い合わせ対応後や特定機能の利用後など、対象を限定して測定できます。

例えば、5段階で回答してもらい、「満足」「とても満足」と答えた割合をCSATとして計算します。

CSAT(%)=満足以上の回答数 ÷ 有効回答数 × 100

仮に、有効回答が100件あり、そのうち満足以上が78件なら、CSATは78%です。これは計算例であり、良い・悪いを判断する基準は、サービスの目的や過去の自社データと照らし合わせて決めます。

CSATの質問例

  • 今回の問い合わせ対応にどの程度満足しましたか。
  • 導入時の設定サポートにどの程度満足しましたか。
  • 今回利用した機能は、期待した成果に役立ちましたか。

満足度の理由を確認するため、「その評価を選んだ理由を教えてください」という自由回答も添えると、改善箇所を特定しやすくなります。

NPSでサービスの推奨意向を測る

NPS(Net Promoter Score)は、「このサービスを友人や同僚にすすめる可能性はどの程度ありますか」と質問し、0〜10点で回答してもらう方法です。

回答者を次の3グループに分けます。

  • 9〜10点:推奨者
  • 7〜8点:中立者
  • 0〜6点:批判者

計算式は次のとおりです。

NPS=推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)

たとえば、推奨者が40%、批判者が25%の場合、NPSは15です。NPSはサービス全体への評価を追跡するのに使えますが、点数だけでは不満の原因が分かりません。「その点数を付けた理由」も同時に聞きましょう。

CESで利用時の負担や使いやすさを確認する

CES(Customer Effort Score)は、顧客が目的を達成するまでにどの程度の手間を感じたかを測る指標です。SaaSでは、初期設定、操作、データ移行、問い合わせ解決などの評価に向いています。

質問例としては、「目的を達成するまでの操作は簡単でしたか」「問題を解決するためにどの程度の負担を感じましたか」などがあります。回答尺度は、質問文に合わせて「非常に簡単」から「非常に難しい」までの段階評価にします。

満足度が高くても、操作や設定に大きな負担がかかっている場合があります。CSATだけでなくCESも見ることで、将来の不満につながる使いにくさを把握できます。

SaaSの顧客満足度を調査する手順

調査は、目的を決めてから対象者、質問、実施時期、分析方法の順に設計します。

  1. 調査の目的を決める

    「サービス全体の評価を知りたい」「解約の兆候を把握したい」「新機能の使いやすさを確認したい」など、調査で明らかにしたいことを1つ以上具体化します。

  2. 調査対象とタイミングを決める

    全顧客に一斉送信するのか、特定機能を使った顧客だけに送るのかを決めます。導入直後、初回利用後、問い合わせ完了後、定期レビュー前、契約更新前など、評価してほしい体験に近い時点で質問します。

  3. 指標と質問を選ぶ

    特定の体験ならCSAT、サービス全体の推奨意向ならNPS、操作の負担ならCESを使います。1回のアンケートで質問を増やしすぎると回答の負担が大きくなるため、目的に直接関係する質問に絞ります。

  4. 回答者の属性を記録する

    企業規模、契約プラン、利用期間、利用頻度、担当者の役割など、分析に必要な項目を設定します。個人を特定できる情報を集める場合は、利用目的や管理方法も事前に示します。

  5. アンケートを実施する

    メール、サービス内のポップアップ、サポート終了画面など、顧客の行動に合った方法で依頼します。回答期限、所要時間、回答が任意であることを分かりやすく伝えます。

  6. 数値と自由回答を分析する

    全体の平均だけでなく、プラン、利用期間、顧客規模、利用機能などのグループ別に比較します。自由回答は「操作性」「料金」「サポート」「機能不足」などのテーマに分類し、同じ内容がどの程度現れているかを確認します。

  7. 改善施策を実行し、再調査する

    改善する課題、担当者、期限、確認する指標を決めます。施策後は同じ条件で再調査し、満足度の変化と利用状況の変化を確認します。

質問項目は「評価」と「理由」を分けて作る

顧客満足度の調査では、点数を付ける質問と、その理由を尋ねる質問を分けると分析しやすくなります。

基本的な質問例

  • 今回の利用体験にどの程度満足しましたか。
  • このサービスを同僚や知人にすすめる可能性はどの程度ありますか。
  • 目的を達成するまでの操作は簡単でしたか。
  • 特に良かった点を教えてください。
  • 改善してほしい点を教えてください。
  • 現在、業務上どのような成果に役立っていますか。

「機能に満足していますか」のように対象が広すぎる質問だけでは、顧客が何を評価したのか判断しにくくなります。「レポート作成機能の操作性」「問い合わせへの回答速度」など、評価対象を具体的にすると回答を改善に結び付けやすくなります。

アンケート結果は利用データと組み合わせて判断する

アンケートの回答だけで顧客満足度を判断するのではなく、実際の利用状況や契約状況も合わせて確認します。満足と回答していても利用頻度が下がっている場合や、不満と回答していても重要な業務で継続利用している場合があるためです。

  • ログイン頻度や利用ユーザー数
  • 主要機能の利用回数
  • 問い合わせの件数と内容
  • 導入設定や初期利用の完了状況
  • 契約更新、縮小、解約の状況

これらを組み合わせると、単なる満足度の確認から、「どの顧客が、どの場面でつまずいているか」という分析に進めます。ただし、利用頻度が高いことだけで満足しているとは断定せず、アンケートの回答理由と照らし合わせて判断します。

顧客満足度調査で注意したい点

調査結果は、質問の仕方や回答者の集まり方によって変わります。数値を比較する場合は、対象者、質問文、回答尺度、実施時期をできるだけそろえます。

  • 不満を持つ顧客だけ、または熱心な顧客だけに偏っていないか確認する
  • 導入直後と長期利用後の回答を同じグループとして扱わない
  • 回答数が少ないグループの結果を全顧客の傾向と断定しない
  • 質問を誘導する表現にしない
  • 同じ顧客へ短期間に何度も依頼しない
  • 自由回答に個人情報や機密情報を書かないよう案内する
  • 点数の上昇だけでなく、具体的な不満が解消されたか確認する

特に、回答率が低い場合は、回答した顧客だけの傾向になっている可能性があります。回答数だけでなく、依頼数、回答率、対象顧客の構成も記録しておくと、調査結果を比較しやすくなります。

顧客満足度の調査方法は目的に合わせて選ぶ

SaaSの顧客満足度を調査する最初の一歩は、「何を改善するための調査か」を決めることです。サービス全体を測るならNPS、特定の利用体験ならCSAT、操作や手続きの負担ならCESを使い、自由回答と利用データで理由を補います。

まずは対象となる顧客と調査タイミングを決め、短いアンケートを実施してください。その結果を顧客属性や利用状況ごとに比較し、改善施策を行った後に同じ条件で再調査すると、顧客満足度の変化を継続的に確認できます。