SaaSマーケティングを自動化できるツールは?

SaaSマーケティングを自動化できるツールは?

SaaSマーケティングの自動化には、マーケティングオートメーション(MA)ツールや、顧客の利用状況に応じて配信できるライフサイクルマーケティングツールが使えます。 BtoBのリード獲得から商談化までを自動化したいならMA、登録後のオンボーディングや利用促進まで行いたいなら、プロダクトデータと連携できるツールが向いています。

ただし、ツールごとに得意な対象や連携方法が異なります。選ぶときは、会社名だけでなく「どの業務を、どのデータを使って自動化したいか」を先に決めることが大切です。

SaaSマーケティングを自動化できる代表的なツール

代表的な候補は、HubSpot、Marketo Engage、Salesforce Account Engagement、BowNow、SATORI、Customer.io、Brazeなどです。BtoBの営業連携を重視するか、SaaS登録後の行動に合わせた配信を重視するかで、向いているツールが変わります。

ツールの例 向いている用途 選ぶときの確認点
HubSpot Marketing Hub フォーム、メール、顧客管理、営業連携を一つにまとめたい場合 必要な機能が契約プランに含まれるか、既存の営業管理との連携方法
Adobe Marketo Engage 複雑な条件分岐や大規模なBtoBマーケティング 運用担当者の知識、初期設計、Salesforceなどとの連携
Salesforce Account Engagement Salesforceを中心にリード管理と営業連携を行う場合 Salesforceとのデータ連携、必要なライセンスと管理体制
BowNow 比較的シンプルなBtoBのリード管理やメール配信 自社で使いたい分析・シナリオ機能が利用プランに含まれるか
SATORI 匿名訪問者を含む見込み客への施策や国内向けの運用 自社サイトへの計測タグ設置、営業管理ツールとの連携
Customer.io SaaS登録後の行動に合わせたメールやメッセージ配信 イベントデータの送信方法、配信チャネル、データ設計
Braze アプリやWebサービスの利用促進、継続利用の施策 プロダクトデータとの連携、導入・運用体制、対象チャネル

上表は順位ではなく、一般的な用途別の整理です。機能、料金、連携対象、利用条件はプランや契約時期によって異なるため、導入前に各サービスの公式情報と見積もりを確認してください。

BtoB SaaSのリード獲得から商談化までを自動化するなら

問い合わせや資料ダウンロードの管理、メール配信、見込み度の判定、営業への引き継ぎを自動化したい場合は、BtoB向けのMAツールが候補になります。

たとえば、次のような流れを作れます。

  1. Webサイトにフォームを設置し、資料ダウンロードや問い合わせを受け付ける。
  2. 入力内容をもとに、業種や会社規模などの属性を登録する。
  3. ダウンロードした資料や閲覧したページに応じて、メールを出し分ける。
  4. メールの開封、リンクのクリック、料金ページの閲覧などを記録する。
  5. 一定の条件を満たした見込み客を、営業担当者へ通知する。
  6. 営業対応の結果を記録し、商談化率や受注への影響を確認する。

この用途では、HubSpot Marketing Hub、Adobe Marketo Engage、Salesforce Account Engagement、BowNow、SATORIなどを比較しやすいでしょう。特に営業管理ツールをすでに導入している場合は、既存システムとの連携しやすさを優先すると、二重入力を減らしやすくなります。

SaaS登録後のオンボーディングや利用促進を自動化するなら

無料登録後の案内、初回設定の促進、利用停止の兆候への対応を自動化するなら、顧客のプロダクト利用データを扱えるツールが向いています。

たとえば、次のような条件で配信を分けます。

  • 登録後24時間以内に初期設定を完了していない利用者へ案内を送る
  • 特定の機能を使った利用者へ、関連する活用方法を案内する
  • 一定期間ログインしていない利用者へ、再利用を促すメッセージを送る
  • 有料プランの利用者へ、上位機能や追加サービスを案内する
  • 契約更新が近い顧客へ、利用状況に応じたフォローを行う

Customer.ioやBrazeは、このようなイベントベースの配信を検討する際の候補です。イベントベースとは、「登録した」「ログインした」「機能を使った」といった顧客の行動を起点に配信する仕組みです。

一方、Webサイトのフォームや営業への引き継ぎが中心なら、プロダクト内の行動データに強いツールだけでなく、BtoB向けMAとの連携も検討します。

目的別に見るツールの選び方

目的によって、重視する機能は次のように変わります。

自動化したいこと 重視する機能 向いているツールの方向性
資料請求から営業への引き継ぎ フォーム、リード管理、スコアリング、営業連携 BtoB向けMA
見込み客へのメール配信 セグメント、シナリオ、配信結果の分析 MA・メールマーケティングツール
無料登録後の初期設定促進 登録情報や利用イベントとの連携 ライフサイクルマーケティングツール
機能利用の促進 プロダクトデータ、行動条件、複数チャネル配信 イベントベースの配信ツール
解約率の改善 利用低下の検知、顧客属性別の分析、通知 プロダクト分析・顧客コミュニケーションツール

導入前に確認したい5つの条件

ツールを比較するときは、機能の数よりも、自社のデータと運用に合うかを確認してください。

1. どの顧客情報を使えるか

会社情報、担当者情報、資料ダウンロード履歴、メール反応、ログイン履歴、機能利用状況など、利用できるデータを確認します。特にSaaSでは、マーケティング用の顧客情報とプロダクト内の行動データを結び付けられるかが重要です。

2. CRMや営業管理ツールと連携できるか

MA側で得た見込み度や行動履歴を営業側でも確認できないと、せっかくの自動化が手作業に戻ることがあります。利用中のCRM、営業管理ツール、請求システムなどとの連携方法を確認しましょう。

3. シナリオを自社で変更できるか

配信条件やメール内容を、マーケティング担当者が変更できるかを確認します。変更のたびに外部委託や開発が必要になる場合、施策の改善に時間がかかる可能性があります。

4. 必要なデータを計測できるか

Webページの閲覧だけでなく、SaaS内の登録、ログイン、機能利用、プラン変更などを扱いたい場合は、APIやSDKなどの連携方法を確認します。ツールに機能があっても、必要なデータを送れなければ目的の自動化はできません。

5. 料金以外の運用負担を確認する

費用を比較するときは、月額料金だけでなく、初期設定、データ連携、シナリオ設計、メール作成、権限管理、社内教育にかかる負担も見積もります。料金の単位や対象ユーザー数、配信数、データ量などの課金条件は、サービスごとに確認が必要です。

初めて導入する場合は小さなシナリオから始める

最初からすべてのマーケティング業務を自動化するより、成果と作業量を確認しやすい一つのシナリオから始める方法が現実的です。

  1. 自動化したい課題を一つに絞る。例として、無料登録後の初期設定率の改善や、資料ダウンロード後の営業引き継ぎがあります。
  2. 開始条件と終了条件を決める。たとえば「登録後に初期設定を完了していない人へ配信し、完了したら配信を止める」と設定します。
  3. 必要なデータが正しく取得できるか確認する。
  4. 少人数や限定した顧客グループでテストする。
  5. 配信漏れ、重複配信、誤った対象への配信がないか確認する。
  6. 目的に合った指標を確認し、シナリオや対象条件を改善する。

たとえば初期設定の促進が目的なら、メールの開封数だけでなく、初期設定完了率や登録後の継続利用率を確認します。目的と関係の薄い指標だけで評価すると、自動化の効果を判断しにくくなります。

SaaSマーケティング自動化ツールの選び方

BtoBのリード獲得と営業連携が中心ならMAツール、登録後の利用促進や解約防止が中心ならプロダクトデータに対応した配信ツールを軸に比較します。

最初に、営業連携が必要か、SaaS内の行動データを使うか、既存システムと連携できるかを確認してください。そのうえで、実際に自動化したい一つのシナリオを決め、必要なデータ・操作・費用を各ツールで確かめると選びやすくなります。